コラム
コラム「灸術について」もぐさの燃焼温度
時々、患者さんから「もぐさの燃える温度は何度ですか?」という質問を受けます。
「何度だと思いますか?ちなみに、たばこの温度は700℃ですよ・・・米粒(べいりゅう)大(だい)で80℃、半米粒(はんべいりゅう)大(だい)で60℃です。」というと、患者さんの一人である中華のシェフが「えっ!揚げ油の温度よりも高いと思っていました。」とビックリしました。
ところで、もぐさを成形することを「ひねる」といいます。もぐさをひねる大きさを昔から穀物の大きさで表現します。
小豆大、麦粒大、米粒大、半米粒大、糸状大というように、それに似せた大きさのもぐさを経穴(ツボ)の上に載せて燃焼させます。
土屋灸術院の灸術は透熱(とうねつ)灸(きゅう)(直接皮膚にもぐさを置いて燃焼させる方法)であり、この透熱灸に使われるもぐさは、最上級のものを使います。これは上質のもぐさほど燃焼温度が低いのです。その透熱灸に使われるもぐさを使った場合、肌の上では米粒大のもぐさで約80℃、半米粒大で約60℃になると言われています。
また体感温度として感じ方が違って来ます。それは、全く同じに作ったもぐさでお灸しても、それぞれ熱さの感じ方が個人によって違うのです。健康な人は熱く感じますし、慢性病や身体が冷えている人は熱さを感じにくいものです。
また、ツボによって熱さの感じ方も違って来ますし、前回は熱くなかったけど今回は熱いなど、その時の体調の変化などでも熱さの感じ方も違って来ます。
このように客観的に測定した温度と主観的に感じる温度は、違うものなのです。
それと、もぐさの大・小・硬・軟・高・低により燃焼温度は違います。
もぐさの大きさで温度が違うのは当然のことです。
もぐさを大きくひねれば、燃える量が多くなり、発生する熱量も大きくなりますので、燃焼温度は高くなります。反対に小さくすれば燃焼温度は低くなります。温度変化は、もぐさの大小だけでなく、同じ大きさであっても成形するときに硬くひねると燃える材料が多くなるため高温になり、柔らかくひねると低温になります。また、もぐさを高く作る、低く作るでも感じ方が違って来ます。